質疑応答

鉄道関係

Q. 今後の当社ビジョンを考えるにあたり、なにわ筋線事業をどう位置づけ、また同線の開通によって、なんばエリアを通過点としないようにどう取り組むつもりか。

A. なにわ筋線事業は大きな投資を伴う事業であり、現在、関係先等と慎重に協議・検討を進めているが、社会的に大きな意義のある事業であり、また、当社沿線が大阪の主要都心部や交通結節点と直結するエリアに生まれ変わるチャンスと考えている。鉄道以外のビジネスチャンスを取り込み、事業拠点であるなんばエリアの街としての魅力向上に努めてまいりたい。

Q. 難波駅2階南改札口には階段しかなく、荷物が多い場合の利用に不便だが、エレベーターやエスカレーターを利用したい乗客にどういった案内をしているか。

A. 難波駅2階南改札口は構造上、エレベーターやエスカレーターが設置できず、今後の検討課題と認識している。お客さまには、係員がエスカレーターやエレベーター等のある2階中央改札口に向かっていただくよう案内しており、引き続きしっかりと対応してまいりたい。

Q. 難波駅3階北改札口から地上に向かう長いエスカレーターを、立ち止まらずに歩いたり、時には走ったりする人がいて危ないと感じるので、そのような旅客には階段利用を促すなど何らかの対応ができないか。

A. 毎年、大手民鉄各社合同で、エスカレーターを歩かずに立ち止まろうとのキャンペーンを展開しており、啓発活動を継続してまいりたい。また、当社では、エスカレーターを立ち止まって利用してもらえるように、黄色の目立つステッカーを貼り対応している。

Q. 高野線の堺市内連続立体交差事業の完成は、いつ頃を予定しているか。

A. 高野線の堺市内連続立体交差事業は、2022年に事業認可を取得したところであり、まだ工事は実施していないが、2038年3月末の事業認可期間内の完成をめざして進めてまいりたい。

Q. 大阪市住吉区内にて連続立体交差事業が行われるよう、大阪市や南海電鉄に要望しているが、まだ行政による都市計画決定には至っていない。仮に都市計画が進んだとしても、数十年先にしか高架事業が完成しないと思うと、今は踏切の遮断時間短縮の取組みが重要になるが、当社ではそうした踏切設備を導入しているのか。また、さらに踏切遮断時間を短縮する対策も教えてもらいたい。

A. 踏切遮断による交通渋滞が発生していることは承知しており、大阪市との間で連続立体交差事業に関する対話を続けてまいりたい。当社では、昭和45年に列車種別毎に踏切遮断時間を変えるシステムを導入し、平成5年には100種別を判定できるシステムに更新した。今後、AIやGPSを活用するなど、さらなるシステムの高度化に向けて研究を深めてまいりたい。

Q. 南海本線において、忠岡駅付近だけが高架化されていないのはなぜか。

A. 連続立体交差事業は、市町村による都市計画決定がなされた後、鉄道工事部分について当社が協力して工事を実施するという事業スキームであり、現状、忠岡町では都市計画がなされていない。

Q. 踏切の誤作動は、年間で何件発生しているか。

A. 通常運転時における踏切の誤作動は発生していないが、周辺工事等のミスに起因して、直近の数年間に踏切の誤作動による事故が3件発生しているので、引き続き再発防止を徹底してまいりたい。

Q. インバウンド旅客がスーツケースを複数所持し乗車することで、列車内通路を塞ぎ、自由に通れずに不便であるが、手荷物料金を収受することはできないか。

A. インバウンド旅客を含め、お客さまのスーツケースや飲食、携帯電話の利用に関する啓発ポスターを車内に掲示し、係員による案内を行っているほか、関西空港駅では分散乗車を促す取組みを行っている。また、内容によって手荷物を有料とする制度があるが、スーツケースをその対象に含めるかどうかについては今後の検討課題としたい。

Q. 新たな乗車券として、クレジットカードのタッチ決済や、QRコード付きデジタル乗車券を導入しているが、事業規模はどうなっているか。

A. 当社は他社に先駆けてクレジットカードのタッチ決済を導入し、また、QRコードを活用した取組みを行っているが、いずれもサービスを開始してからの期間が短く参考値ではあるが、本年のゴールデンウイーク期間に、いずれも数千人の利用があった。今後PRを拡充するほか、特にさまざまな企画きっぷに活用できるQR乗車券拡販の取組みを深度化させてまいりたい。

 

不動産・まちづくり関係

Q. パンジョに隣接する第3駐車場は、雨に濡れずに行き来できるため便利であるが、駐車スペースが狭いため、改修して広くしてもらいたい。

A. 稼働率の高い第3駐車場だが、約50年前に完成した施設であり、現在一般的に使用される自家用車のサイズと合っていないと認識している。障がいを持つ方が利用できる駐車スペースを拡大するなどしているものの、大規模な改修が必要で即時の対応は難しいが、貴重な意見として今後の検討に生かしてまいりたい。

Q. なんばエリアの当社保有土地をうまく活用していってもらいたい。

A. なんばエリアでは、なんばスカイオの開業をもって難波駅の高度利用に一区切りをつけ、現在は、なにわ筋線の「南海新難波駅」開業予定地の周辺において、約10年かけて3棟のオフィスビルを取得し、開発準備を進めている。地価が高騰し、新規取得は容易ではないが、リスクとリターンのバランスを考慮し、引き続き対応してまいりたい。

 

経営戦略関係

Q. 共創140計画において「第3の柱の構築」を掲げているが、新たな事業への挑戦と、既存事業のリメイクのどちらに主眼を置いて進めているのか。

A. コロナ禍で、公共交通・まちづくりの2事業が苦戦したことを背景に第3の事業の育成に取り組んでいるが、その方向性は、既存事業との相乗効果が得られる分野だけでなく、DXや外国人共生、高野山・南紀方面へのツーリズム事業といった新たな分野への挑戦も模索しており、いずれの可能性も探るべく検討を進めている。

 

総務関係

Q. 現状、空港線と泉北高速鉄道線は株主優待乗車証が利用できないが、泉北高速鉄道株式会社と経営統合した際には、泉北高速鉄道線を株主優待乗車証で利用できるようにしてもらいたい。

A. 空港線は、新関西国際空港株式会社が所有し当社は線路使用料を支払う立場にあり、お客さまにも特別の負担をお願いしていることから、株主優待の乗車可能範囲としていないことをご理解いただきたい。また、当社と泉北高速鉄道は、経営統合に向け準備を進めているが、統合方式や期日、株主優待の取扱い等については現在協議中であるため、決定次第速やかに開示したい。

 

Q. グループ会社関係

Q. 阪堺電気軌道の恵美須町から我孫子道間の運転本数を、少なくとも15分から20分間隔になるように増やしてもらいたい。

A. 恵美須町から我孫子道間は、お客さまの利用が少ないため、利用実態に応じたダイヤ設定とさせていただいているものであるが、貴重なご意見としてうけたまわりたい。

 

Q. 南海バスについて、場所によっては土休日に1時間あたり1本しか運転していない路線があるが、平日と土休日問わず、1時間に3、4本程度は運転するようにしてもらいたい。

A. 公共交通機関として、一定本数の運行が望ましいものと考えているが、当社グループでもバス運転士が不足し、要員が逼迫する中での運行となっている。引き続き要員確保を前提としつつ、安全と法令順守を最優先に、お客さまの利用状況や利便性、事業の採算性等を勘案してダイヤを編成してまいる所存であり、貴重なご意見として今後の参考とさせていただく。

 

ホームページで受けた質問について

Q. 株主優待拡充の検討状況と、回数券の代替としての「おトクなきっぷ」の検討状況について、それぞれ教えてもらいたい。また、他社に比べ、運転技術が低いと感じるが、教育、技術向上に向けて取り組んでいることを教えてほしい。

A. 優待制度の実質的な見直しを行う予定はないが、他社動向や今後の経営環境に応じ、必要な検討を行ってまいりたい。回数券に代わる「おトクなきっぷ」の発売予定はないが、PiTaPa等をminapitaポイントマイページに登録し、当社線及び泉北高速鉄道線を利用することで、minapitaポイントが貯まるサービスを提供している。また、日常的に監督者が運転室に乗車し、運転士の作業内容を確認する添乗指導のほか、定期的に運転操作の確認をする技術査察を実施し、運転技術の維持・向上と、乗り心地向上に努めている。

 

Q. インバウンド旅客のスーツケースによって、一般客が車両奥まで入りづらく入口付近が混雑する傾向にあるが、一般車両にスーツケース置場を設置したり、インバウンド旅客専用車両を設けたりしてはどうか。また、大阪・関西万博開催時の対策を教えてもらいたい。

A. 一般車両において、車両ドア横のスペースを少し広げて、スーツケース等手荷物の置場を設けた車両の導入を進めている。また、大阪・関西万博開催時のハード対策は現状具体的に決まったものはなく、今後、検討を進めてまいりたい。

 

Q. 駅のホーム上の時刻表が、QRコードを読み取る方式に変わっているが、利用者にとって優しくない。スマートフォンを持っていない人はどうすれば良いか。

A. 当社では、リアルタイムの列車運行状況等を手許で確認してもらえるよう掲示物のデジタル化を進めており、ホーム時刻表のQR化もその一環である。なお、各駅とも改札付近に1箇所以上、時刻表を掲出しているが、スマートフォン等をお持ちでなく、また係員が不在時は、各駅設置のインターホンを通じて問合せをお願いしたい。ご意見を踏まえ、お客さまへの周知方法も含めて今後の検討・検証を行ってまいりたい。

 

Q. 突然のイベント開催に他の利用者が驚かないように、開催する鉄道イベントは、すべて広く情報を公開してほしい。また、ホームの乗車位置サインの視認性を高めるように、位置を見直すほか、文字サイズが大きくなるよう変更し、優先座席の案内も加えてもらいたい。

A. 当社が行う鉄道イベントは、公式SNS等でお客さまへ告知を行っているが、各旅行会社の依頼に基づき実施する臨時列車運行等は、各旅行会社による告知を基本としている。なお、このような場合でも、旅行会社のスタッフに加え当社スタッフも同行し、お客さまにご迷惑をお掛けしない体制をとっている。
ホーム上の乗車位置サインは、車両によって扉の設置場所が異なり、さまざまな種類の案内サインを設置することによって、かえってお客さまの混乱を招く恐れがあり、可能な限りシンプルかつ分かりやすい内容を心掛けているものであるが、貴重なご意見として今後の参考にしたい。

 

Q. 今年度の業績予想で、売上高と営業利益は増収増益予想であるにも関わらず、経常利益が減益予想となっている理由を教えてもらいたい。また、これが株価がさえない原因と思うが、どう考えるか。

A. 2024年度の売上高(営業収益)は、不動産業の物件販売収入が減少するものの、運輸業で旅客需要の回復や運賃改定効果が寄与するほか、建設業の完成工事高増加により前期比で増収を見込んでいる。また営業利益は前期とほぼ同水準を、経常利益は補助金の減少等により約2%の減益を見込んでいる。
株価はさまざまな要因で変動するが、当社は、共創140計画の戦略に基づき、財務体質改善の取組みを継続しつつ、なんばや泉ヶ丘のまちづくりの推進や物流事業等への投資、未来探索で取り組むツーリズム戦略や外国人共生等の第3の柱の育成といった成長戦略の実行、また各事業での資本効率の継続的向上を推進することで企業価値の向上に取り組んでおり、それらが中長期的に株価向上にもつながっていくものと考えている。加えて、投資家の当社に対する理解を深め、評価してもらえるよう引き続き取り組んでまいりたい。

 

Q. 大きな手荷物を持つインバウンド旅客によって車内が混雑しているが、その対応として、特急サザンを活用できないか。また、インバウンド旅客は、車内でスマートフォンから大きな音が漏れていたり、通話をしていたりするため、特急列車の利用を促すなどして、対応してもらいたい。

A. 関西空港駅から直接特急サザンの利用を促す商品は現状ないが、今後より多くのお客さまに利用してもらえるよう検討してまいりたい。鉄道利用マナーは、関西の鉄道事業者共同のキャンペーンを年に2回実施し啓発しているほか、当社では手荷物や飲食、スマートフォンでの通話等、多言語のマナー啓発ポスターを駅や車内に通年にわたり掲出するとともに、乗務員が車内巡回時に直接お声掛けを行い、車内環境の改善に取り組んでいる。また、関西空港駅と難波駅に手ぶら観光窓口を設置し、スーツケース等の預かりや配送を行い、駅・車内の混雑緩和に取り組んでおり、引き続き快適な輸送サービスを提供できるよう努めてまいりたい。